秋の印象といえば「ジュールとジム」(突然炎のごとく) 感想
寂しいから秋を感じる
ジュールとジムという原題が気に入っている。しかし、これは三角関係を描いた作品だ。だから、女性の名前がないとおかしい。
「ジュールとジムとカトリーヌ」または「カトリーヌとジュールとジム」
カトリーヌという、二人の運命の女性を演じたのは麗しいジャンヌ・モロー。ジャンヌ・モローは寂しさを感じさせる眼差しが魅力だ。
このタイトルがあらわすように、カトリーヌもきっと、ジュールとジムの友情に入っていけない疎外感を感じていたのではないかと思う。女として愛され求められても、満たされない。そういう表情を「あの」最後のシーンまで見てしまう。
寝ることが、決定的に付き合っているということではない、フランスの恋愛イメージも、この作品がかなり固定的にさせたと思っている。その悲しさや寂しさ、不安も同じように含んでいる。
作品でも結婚をしようとするで問題が起こる。自由を求めるのに束縛されたいという不可解な人間行動は、どちらが叶ってもどこか寂しくなるものなのかもしれない。
突然ジャンヌ・モローに出会ってしまう作品
いつまでも、夏のように輝いていたいのに、人生がそうさせない。それならいっそという破綻を求める破滅的な運命を持っているのはカトリーヌなのではないかと思う。
ジャンヌ・モローを好きな理由は活き活きしていても破滅が見える稀有な女優だからだ。
だから、彼女が演じると、エロスとタナトスのように同じくらい強く生の美しさと死の恐ろしさが共存する。アンビバレントな魅力をカトリーヌに、ジャンヌ・モローの表情に見てしまう。それだから目が離せなくなる。
「ジュールとジム」のように、幸せになりたいのに、なれない。ファムファタルに出会ってしまった男たちのように、カトリーヌに心を焦がされる。
だから、「突然炎のごとく」でももちろん良い。