styloの映画日記

WEBライターによる映画の感想、コラムなど雑記ですが記していきます。

※『ルージュの手紙』 フランス映画祭2017 オープニング舞台挨拶 &「Sage femme」上映 

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2017年フランス映画祭オープニング 6月22日

有楽町TOHOシネマ日劇

 

・オープニング舞台挨拶の様子

満員の観客を前に、これまでの登場作品のまとめ映像がながれ、登場したカトリーヌ・ドヌーヴ。遠目で見ても顔立ちがはっきりしているのがわかった。細い足にブロンド、思い出すのはさっきまでスクリーンに映っていた若いころの映像ばかり。歳を重ねているのに可憐な立ち姿だと感じてしまう。

しかし、そこに確かにいるのは、今のカトリーヌ・ドヌーヴ。大女優であり、同じ時代を生きている人生の先輩。会場は拍手に包まれた。

その後、客席の前方から登場したのはルー・ド・ラージュ、イザベル・ユペールといった豪華すぎる女優陣。各世代の筆頭が登場し、会場も盛り上がる。もちろん、ポール・バーホーヴェン監督、トラン・アン・ユン監督も登場。

豪華すぎるひと時。

団長のマドモワゼルカトリーヌ・ドヌーヴの挨拶の後、北野武監督が登場。めちゃくちゃな挨拶のあと、映画への愛を語る。フランス映画は人と話をする視点をたくさん持てることを指摘。

そして、皆退場し上映へと移ることになる。

この時点で、感動しすぎて涙。同じ空間で過ごせるなんて夢のようなひと時だった。

 

・SageFemme上映

マルタン・プロヴォ監督

出演

カトリーヌ・ドヌーヴ

カトリーヌ・フロ

 

あらすじ

助産師(SageFemme)としてまじめに働くクレールと、かつて父親の恋人だった賭け事もお酒も大好きなベアトリスの再会から始まるストーリー。二人の正反対の女性が人生の後半になって再びお互いに影響しあう。

 

クレールにとっては、過去のいやな存在だったベアトリスが重病と知り、放ってはおけない。二人の共通の思い出として、クレールの父親の存在もちらつく。

 

クレールの働く病院が閉鎖して、二人はより長い時間を過ごすことになり距離が縮まっていく。

 

感想

母、娘、孫、ひ孫という命のつながりを描いた作品。血のつながりはなくても、父親を通じて結びつきがあるなら通じ合うことがある。和解することはむずあkしいと思う相手でさえ真剣に向き合うクレールのまじめさに、ベアトリスは救われるし、ベアトリスの常識にとらわれず気ままに生きるありかたにクレールも救われている。

 

最後は、人を愛する気持ちを思い出したクレールの姿に安心して去ることができたのだろう。強烈で放っておけないベアトリスを、カトリーヌドヌーヴが貫録たっぷりに演じている。

カトリーヌ・ドヌーヴは、国内外からも女性が自由に生きることの象徴としてとらえられる。表現することもそうだし、常に自分から行動を起こしている。こんなに大女優となった今でも、作品への出演交渉を自分でしたという話もある。

彼女が演じるからこそベアトリスは付き合いにくい偏屈でわがままな人ではなく、自由な雰囲気をまとったチャーミングな女性に移るのだ。こうあるべきという姿にばかりとらわれず、人生を謳歌する姿とその責任を見せてくれている。

見終わった後に、人生の長さと、自分がどう生きていたいかということを考えさせる作品だ。あいさつでカトリーヌ・ドヌーヴが言ったように「愛と死」をテーマにしている深みが感じられる。

 

※『ルージュの手紙』というタイトルにて上映

rouge-letter.com