styloの映画日記

WEBライターによる映画の感想、コラムなど雑記ですが記していきます。

感想 洋画

トリュフォー映画祭『終電車』のカーテンコール

ドイツ占領下のフランス、パリのモンマルトル劇場で起こる、恋愛模様。支配人の女主人は、その夫ユダヤ人のルネを地下に匿いながら新しい戯曲の公演を控えている。相手役の新人俳優は美しく若いベルナール。地下の夫に聞かれながらも、2人は愛を囁くシーンを…

アルモドバル監督「ジュリエッタ」感想 ある女性の人生に見た希望の話

ジュリエッタ [Blu-ray] 出版社/メーカー: ポニーキャニオン 発売日: 2017/06/02 メディア: Blu-ray この商品を含むブログを見る 2017年4月 飯田橋ギンレイホールにて 『ジュリエッタ』 2016年 スペイン 監督 ペドロ・アルモドバル 主演 エマ・スアレス&アド…

『リアリティのダンス』感想 暗い少年時代も未来へつながっている

少年時代の思い出は夢の中に ホドロフスキーの『リアリティのダンス』は、彼自身の過ごした少年時代をベースに作られた自伝的作品と言われる。 脚色は強く、登場する人物は夢の中の存在のように誇張されているように感じる。 例えば、母親はずっとオペラ調で…

80年代ノスタルジーという安心感 「レネットとミラベル」 感想

mermaidfilms.co.jp 「レネットとミラベル」下高井戸シネマにて 2016.7.13. 色とりどりなフランスの80年代 エリック・ロメール監督の「レネットとミラベル」1986年 はヌーベルバーグの流れをくむ4つの短編からなるオムニバス形式。 田舎の純朴なレネット…

元気が出るラブコメをチャージ 「タイピスト!」 感想

なんかほんわか上京恋愛ものがたり タイピングがもてはやされ、女性の職業として憧れのまとだった時代に、田舎から上京してきた女の子がトップを目指すサクセスストーリー。 時代の雰囲気が服装やメイクに現れていて眺めているだけでも、ポップで明るい気持…

「黒水仙」 高潔で禁欲的な尼僧界のスキャンダル 感想

ナルシシズムを感じる高潔さを憎む 水仙は神話のナルシスにも通じる、うぬぼれ屋のイメージがある花で毒もある。黒水仙なんてものは存在していないのだけれど、ブラックなイメージが全開の作品だ。 ヒマラヤの奥地の教会に赴任してきた尼僧たちが、孤独と宗…

フランス映画祭レポート 「ショコラ」 2016.6.26

「ショコラ!(仮題)」 Chocolat - Bande-annonce あらすじ 19世紀末、大衆芸能文化が花開くパリで大成功をおさめたサーカスの目玉、黒人と白人の道化師のコンビ。ショコラ(オマール・シイ)はこの黒人の道化師のことだ。 落ち目の道化師フティット(ジェ…

コクトー原作・メルヴィル監督 「恐るべき子供たち」 恐るべき姉の愛 感想

コクトーの美学を目の前に再現する ジャン・コクトーの作品「恐るべき子供たち」の映画版は、ヌーベルバーグのメルヴィルが監督した。コクトーの恋人が弟ポールを演じ、コクトー自身がナレーションをすることで、原作者との強い結びつきをアピールしている。…

「プライドと偏見」 イギリス文学的大人の恋愛の世界にはまる 感想

美し過ぎる、イングランドの風景に再現された世界観 18世紀、女性の立場は低く、中流階級では娘が身分の高い男性に見染められることを望む父や母の姿がしばしばみられた。 その時代背景のなか、主人公のエリザベスは、見事、高貴なお方を射止めることに成功…

「パリ、18区、夜。」 断片だけどつながっている大きなストーリー 感想

パリ北部、18区は移民の街 この作品は1993年に作られている。この前後にはイスラム教女性のスカーフ着用事件など移民政策における他文化に対する問題点が議論になっている。 パリ北部18区というと、バルベスやシャトールージュなどの地下鉄駅があり、アフリ…

「コーラス」 ジャン・バティスト・モニエの天使の歌声が聞きたくて 感想

学校一のワルからコーラスのソリストに ジェラール・ジニョ演じる教師が赴任した学校では、やんちゃ盛りの男の子たちが問題ばかり起こしている。中でも一番のワル、問題児モランジュ(ジャン・バティスト。モニエ)に手を焼く。 しかし、モランジュは天使の…

ミヒャエル・ハネケ監督 「ピアニスト」 見終わって傷つく 感想

貞淑な女教師と美形学生のいびつな恋 厳しい母親に管理されて大人になった女性が、お堅いピアノ教師になる。いわゆる毒母の影響で、女性としての成長を抑えられてしまった悲しい主人公をイザベル・ユペールが演じきっている。 その彼女を誘惑する男子学生を…

「鑑定士と顔のない依頼人」 過去から動き出した時間 感想

敏腕鑑定士の目を欺くなら 明らかに怪しい電話依頼を受けたオークションの腕利き鑑定士バージル。罠だとわかっていても、姿を見せない「顔のない依頼人」に憑かれるように惹かれていった。 広場恐怖症というパニック障害を持つ依頼人、クレアは実はブロンド…

感想 「風にそよぐ草」 感情があるから、人間らしい 

感情的な人間であり続ける 偶然が支配する小さな世界で起こるボーイミーツガールの物語が、初老の男女だとどうなるかが描かれた面白い作品。「風にそよぐ草」では、かたくななこだわりや、素直になれないところもリアルに描かれている。 特に印象的なのは、…

「イカとクジラ」ノア・バームバック監督の自伝的映画 感想

ノア・バームバック監督の自伝的作品「イカとクジラ」の感想。子どもにとって親は絶対的存在という時期がある。しかし、あるとき、親が完ぺきではないということに気づかされるタイミングがある…

仏サンリスの街が舞台「セラフィーヌの庭」 感想

サンリスのセラフィーヌ、純粋さゆえの苦しみ フランス、パリから北部に40キロ、サンリスには中世の街がそっくり残っている。旧市街は、石畳の細い路地。そのサンリスを舞台にした映画が「セラフィーヌの庭」だ。 セラフィーヌは、20世紀の女性画家で、自然…

チャップリンが一人二役 「独裁者」 感想

独裁者と床屋の二役で笑わせる ユダヤ人街に暮らす床屋のチャーリーが記憶喪失になっている間に、世間ではユダヤ人弾圧・領土拡大のための戦争が広がっていた。それはチャーリーにそっくりの独裁者、ヒンケルの台頭によるものだった。 いつも通りの、とぼけ…

レティシア・カスタ主演 「歓楽通り」 感想

運命の女性の幸せを願う運命 娼館に勤めるプチ・ルイがついに見つけた運命の女性がマリオン(レティシア・カスタ)。尽くして尽くして、それでも自分の手に入れるのではなくその幸せを願う。 パトリス・ルコントの表現する男の愛のありかたには、もどかしく…

冬の旅 感想

アニエス・ヴァルダの「冬の旅」 【映画チラシ】冬の旅 アニエス・ヴァルダ サンドリーヌ・ボネール 出版社/メーカー: moviestock2 メディア: おもちゃ&ホビー この商品を含むブログを見る www.allcinema.net 寒さ・厳しさ・寂しさをありのままに放り出す …

3.11.に思い出す、 「TSUNAMI 津波」 の衝撃

TSUNAMI 津波 [DVD] 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ 発売日: 2008/06/11 メディア: DVD クリック: 38回 この商品を含むブログ (6件) を見る 津波の恐怖を私は知らない 5年前の3.11.という日が来なければ、海辺の町々の穏やかな日常は今も変わら…

ブランカニエベス 感想

12月7日(土)公開 『ブランカニエベス』日本版予告編 白雪姫?女闘牛士?ザクッと痛いおとぎ話 ブランカニエベスはスペイン語で白雪姫という意味。作品は、白雪姫のストーリーをベースに、モノクロに字幕で展開する。 そこにきて、ヒロインの闘牛士姿は、異…