下北沢B&B 佐々木敦著 「ゴダール原論」イベント レポート
B&Bでゴダールの今昔を語る
要約:ゴダール「さらば、愛の言葉よ」を通して描かれた佐々木氏の「ゴダール言論」について松浦氏の書評を聞きながら、二人がゴダールの今昔について論じる。
ゴダールとは何か、批評の有限性ではとらえられない無限の存在(作品)。定冠詞付のle Godardを捉える試みと、その苦労を語り合う。
映画批評の役割と現代のインターネットの可能性。映画(メディア)が変容する中、3Dと平面の時代にわかれていくのでは。
ゴダールってなんだ
ゴダールといえば、難解、特に最近の映画は。ゴダール作品を見ることで考えさせられてしまう仕組みについて、二人が「そう仕組まれている」と言っていたのが印象的。
さらに、映画史に代表される引用のコラージュについても、意外と行き当たりばったりだと述べていたのはおどろいた。
真面目に見なきゃと思うと、しんどく打ちのめされるのだが、そう聞いてみるともう少し映像を楽しめるかもしれなし。自分の映画体験の中からシネフィリーに堪能できる部分もあるなかで、わからないところは読み飛ばすような感じか。
結局、ゴダールって、なんだかまたわからなくなってきた。一人の映画作家として、映画が変容する時代を生き今でも発信し続けているのはやっぱり稀有な存在だというこだろう。
最新作とヌーベルバーグの隔たり
本で言及されている最新作では3Dに挑戦し意欲を見せるゴダール。遺作と言いながらまだ先があるのではと予感させる。
一方、松浦氏が提案したように、ヌーベルバーグ時代の作家主義「ゴダール」の作品に立ち返って見直すと今の時代に新しい発見を見出しやすくなるという方法も広がると良いと思う。難解なゴダール映画のなかで、より素朴でストーリー性のある作品は映像の作りの奇抜さが今でも光っている。
個人的に特に好きな作品は「女は女である」のアンナ・カリーナは最近の作品とは遠く隔たりのあるミューズであり、強く刻まれたヌーベルバーグ時代のアイコンになっている。
ヌーベルバーグに戻ることが、楽しみにもなり、今のゴダール理解にもつながるのかもしれない。