「イカとクジラ」ノア・バームバック監督の自伝的映画 感想
親は完ぺきではない、を乗り越える
子どもにとって親は絶対的存在という時期がある。しかし、あるとき、親が完ぺきではないということに気づかされるタイミングがある。
この作品では、その微妙な家族の関係の移り変わりが描かれている。実体験を基にしたというノア・バームバック監督の脚本が素晴らしい。
巨大なイカとクジラが争いをする醜さを、両親の姿に重ねることで、親の絶対性から逃れようとしている子どもたちの姿が胸に迫る。
親がであっても弱い部分があり、自分と同じように苦しみも感じていることを理解する子どもたちの心の成長が描かれている。親離れをする子どもたちに対して、子離れがうまくできないのは親たちの方かもしれない。
淡々とした作品だが、じわじわと心にしみてくるのは、誰もが同じような体験をして大人になってきたからかもしれない。