styloの映画日記

WEBライターによる映画の感想、コラムなど雑記ですが記していきます。

ナショジオ「地球が壊れる前に」と「レヴェナント 蘇りし者」

「地球が壊れる前に」

フィッシャー・スティーブンス監督 2016年 アメリカ

 

地球が壊れる前に|番組紹介|ナショナル ジオグラフィック (TV)

マーティン・スコセッシ製作総指揮の環境ドキュメンタリー

一昔前、プリウスに乗るセレブということで、環境への配慮を印象付けたレオナルド・ディカプリオ国連でのスピーチや、自然環境への発信力で俳優だけでない顔を見せている。

 

作品では、ディカプリオがグリーンランドやインドなど環境をめぐるテーマで世界を巡る2年間の旅を追う。「地球が壊れる前に」は、社会派のマーティン・スコセッシ監督の製作総指揮によるドキュメンタリーだ。

 

スコセッシ×ディカプリオは数々の作品でタッグを組んでいる。「ギャングオブニューヨーク」以来、何度も共に仕事をする理由として、ディカプリオの情熱を評価しているという。信頼関係のある二人だからこそ、淡々としたドキュメンタリーというより、情熱がこもった表情をいくつも魅力的に捉えている。

 

「レヴェナント」につながる自然との対話シーン

ディカプリオが初のアカデミー賞を取ったイリニヤトゥ監督「レヴェナント 蘇りし者」。印象的だったのは、家族を奪われた男の悲しみもさることながら、自然に挑み、自然と闘い、自然に包まれている数々のロケシーン。厳しい自然の中で、人間が小さく頼りない存在だということを体当たりで演じている点だった。

 

「地球が壊れる前に」では、イリニヤトゥに対して、売人たちが動物の頭蓋骨までも売っていたシーンを入れてほしいとオーダーしている場面もある。自然と人のテーマをめぐって、二つの作品が共鳴しながら作られている時期があったことがわかる。

 

実際に、レヴェナントのロケ地はカナダの予定地で雪が一気に解けたため、アルゼンチンに変更されたエピソードもあり、アカデミー賞受賞の際も、地球温暖化の問題で結んでいる。地球環境への危機感を強くすることで、自然への敬意や畏怖の深みが増したことは想像できるだろう。

 

「地球が壊れる前に」と「レヴェナント」

役者としてでも個人としてでもハリウッドセレブの彼が活動すれば通常の範疇では収まらない。影響力のある自分を知って、馬鹿にされても信念を持って環境問題を発信し続ける姿勢は、やはり社会と戦うヒーロー。

  

「地球が壊れる前に」を見てから「レヴェナント」を思い返すと、復讐劇という人間ドラマだけでなくもっと大きなテーマを違った視点から感じることもできるだろう。ドキュメンタリーとフィクション、どちらも「自然」と「人間」の対比を演じながら、同時に人間のおごりを暴いている。

  

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