styloの映画日記

WEBライターによる映画の感想、コラムなど雑記ですが記していきます。

「パリ、18区、夜。」 断片だけどつながっている大きなストーリー 感想

J'ai pas sommeil

パリ北部、18区は移民の街

この作品は1993年に作られている。この前後にはイスラム教女性のスカーフ着用事件など移民政策における他文化に対する問題点が議論になっている。

 

パリ北部18区というと、バルベスやシャトールージュなどの地下鉄駅があり、アフリカ系やアラブ系の移民が多く住んでいる地域だ。他にもインド人などが見られ、パリの中でも雰囲気の違った移民の街の側面もある。

 

その場所を舞台にした映画がクレール・ドゥニ監督「パリ、18区、夜。」である。

 

老婦人の連続殺人事件を横目に、出生を全く異にする二人の男女がすれ違う様子を描いている。男女は恋愛に発展するでもなく、淡々とそれぞれの時間を生きている二つの人物が交差する独特の作品だ。

 

フランス社会における移民の問題を独自の視点で切り取った、クレール・ドゥニ監督の眼差しは今見直しても価値のあるものだろう。しかし、日本ではDVD化されていないのが残念。VHSのある方はぜひ見てみてほしい印象深い一作だ。

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