「ミッドナイトインパリ」 恋ってこんな風にしたい妄想が満載 感想
夢見がちな婚約者の見せる奇行
婚前旅行できた花の都パリ。成功した脚本家の婚約者(ギル)に資産家のお嬢様もなんとなく不思議なオーラを感じている様子。
そしてついに、馬車がギルを迎えに来て、憧れの古き良きパリへタイムスリップさせてしまう。パリが最も熱かったボヘミアンの時代へ来たギルは、マリオン・コティヤール扮する美しいミューズに恋をする。
この妄想とも思える世界に行き来するようになり、夢と現実がごっちゃになっていく様は、おかしい状況なんだけれど、笑える。まさにウディ・アレンのラブコメディだ。
ばかばかしい、付き合ってられないと去っていく婚約者の気持ちが痛いほどわかる一方、ギルが真夜中の別のパリに魅了されてしまう気持ちもわかる。だから、おかしな言動や考え方のギルを放っておけないし、話に引き込まれてしまう。
一見、不可解な行動なのに、それなりの個人的な筋が通っている話しに引っ掻き回されるのが心地よい。
懲りない男の恋心
この作品で一番いいシーンだと思うのは、レア・セドゥと一緒に歩くシーンだ。なんだかほっとして、現実に帰った気持ちになる。
結局、こんな美女が一緒に歩いてくれる、そんな現実のパリを最も夢見ているのではないだろうか。歩調を合わせて会話を楽しみながら夜のパリを歩く。ウッディ・アレンが夢見ているパリの恋は、きっとここに極まっている。