「プライドと偏見」 イギリス文学的大人の恋愛の世界にはまる 感想
美し過ぎる、イングランドの風景に再現された世界観
18世紀、女性の立場は低く、中流階級では娘が身分の高い男性に見染められることを望む父や母の姿がしばしばみられた。
その時代背景のなか、主人公のエリザベスは、見事、高貴なお方を射止めることに成功する。身分違いのラブロマンスから、ハッピーエンドといった原作を美しく再現している。
この作品の魅力は、登場人物が恋に溺れているのではなく、自分の立場や社会の在り方に対してほどよく葛藤しながら動いていくところにある。ラブロマンスといっても、必要以上に甘くならない点が心地よい。
イングランドの雄大な景色から、当時と変わらない空気感も感じられる。イギリスにはこんなに自然が残されているのかと、圧倒され、馬で駆けるシーンも絵になる。
ジェイン・オースティンの恋愛観をめぐる
恋愛の在り方の様々な型を提示するといわれる、ジェイン・オースティンの文学作品には今も全世界にファンが多い。その中で、「エマ」や「いつか晴れた日に」などいくつも映像化された作品がある。
プライドと偏見は「高慢と偏見」というタイトルの原作を持ち、生まれによって高慢なところのあるダーシーと、身分に対して偏見を持つエリザベスの関係を描いている。
マシュー・マクファディンとキーラ・ナイトレイにより、すれ違いや、恋心の機微が視線や表情できれいに表現されている。映像化の際に原作から省略された部分があっても、一つの完成された作品として楽しめる。
この作家を題材にした「ジェイン・オースティンの読書会」という映画の存在も、人気の高さを示している。ジェイン・オースティンは何世紀経っても色あせない、普遍的な大人のロマンスの形を綴っている。キラキラした大人女子も、恋愛文学に惹かれるところがちょっと面白かった。