styloの映画日記

WEBライターによる映画の感想、コラムなど雑記ですが記していきます。

激しく、暗い、恋の映画 イザベル・アジャーニ 「カミーユ・クローデル」 感想

カミーユ・クローデル [DVD]

激情を秘めた青い瞳に憑りつかれる

イザベル・アジャーニのつぶらな青い瞳で見つめられたら、どんな人でもドキッとするだろう。そんなに魅力的な女性にこんなに酷な仕打ちをするのかという役が「カミーユ・クローデル」である。この役は、狂気の恋に強迫観念すら覚えるアジャーニの出世作、ユーゴーの娘を演じた「アデルの恋の物語」と同じくらい、はまっている。

 

カミーユ・クローデルは女性彫刻家として活躍し、繊細な細部とリアルな表情の作品を残している。同じく天才彫刻家、ロダンの愛人だった経緯に注目したのが映画「カミーユ・クローデル」だ。

 

二人が破局するまでの経過が残酷で、だんだん心が痛くなっていく。あんなにひかれあった二人が終焉した時の灰になったようなカミーユの姿は印象的だ。深く傷を負うような恋とその破局が、か弱い印象のイザベル・アジャーニを打ちのめす。同時に離れて行ったロダン演じるジェラール・ドパルデューのずるい男ぶりも見どころだろう。

 

イザベル・アジャーニのどこかに狂気を宿しているような美しさは、見ている人を不安にさせる。そして、結果的に不幸な役を演じさせることで、調和すら感じるのだ。

 

美しいのに怖い。かわいいのに居心地が悪い。若い日のイザベル・アジャーニの不思議な魅力が感じられる作品。