感想 「風にそよぐ草」 感情があるから、人間らしい
感情的な人間であり続ける
偶然が支配する小さな世界で起こるボーイミーツガールの物語が、初老の男女だとどうなるかが描かれた面白い作品。「風にそよぐ草」では、かたくななこだわりや、素直になれないところもリアルに描かれている。
特に印象的なのは、主人公の男性がよく怒っているところだ。小さなことで一喜一憂し、その感情の機微に引き込まれる。
見ているとこちらまでイライラしてきたり、上手くいけばはにかんでみたり…。
質の高い映像美は、空を飛ぶシーンで最高潮に達する、そしてクライマックスは、人間の感情や運命の不合理を感じさせる。
日常の中にある、笑ってしまうような不条理な出来事を、細かい心理描写で描くアラン・レネの技が光っている。