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styloの映画日記

WEBライターによる映画の感想、コラムなど雑記ですが記していきます。

ドキュメンタリー「キミの心のブラック・ピーター」 を見た

www.nhk.or.jp

子ども時代の思い出と差別

日本賞」教育コンテンツ国際コンクール受賞作品として、テレビ放送を見た。

 

オランダでは、シンタクラース(聖ニコラス)を迎え入れるお祭がクリスマスシーズン到来とともに行われるそう。そのお供が顔を黒く塗ったブラックピーターという存在で、コミカルな動きでお菓子を配る人気者である。近年、このブラック・ピーターが黒人差別的といわれる動きが生まれている。

 

作品では、道行く人に意識調査をしたり、議会でのやり取りを撮影したり、イギリスでの反応を調査したり、さまざまな角度から、ブラック・ピーターが黒人差別なのかどうかを検証していく。

 

中でも、注意を引いたのは、ブラック・ピーターをお祭の道化的存在として愛しているオランダの白人市民たちの声。子ども時代からお祭を楽しんでいたし、なくてはならない存在だと訴えていた。

一方、活動家たちや差別的だという意見を持つ人たちからは、黒人をバカにしている。陽気で、面白い、原始的な存在というステレオタイプを押し付けるのは間違っている。廃止するべきという。

 

そして、オランダに住む有色人種(黒人や中東?東南アジア系)は日常的に差別的な目で見られているという事実を告白する。作者のパートナーも、差別を受けたことがあり、しかし、作者(白人女性)と一緒にいるときは差別を受けない現象があると告白。

 

ある黒人の家庭で育つ子どもが、学校でバカにされることがあるから、「頭が良くなりたい」という希望を持つようになったという。

 

同じヨーロッパでも、イギリスではブラック・ピーターが差別的と取られ、オランダではその点の意識が低いことが分かった。ヨーロッパはそれぞれの国に歴史への自負がある。オランダは先進的な自由の国だと思っていたが、植民地時代の名残がまだ見られることに驚きを感じた。

 

無邪気なお祭り騒ぎの持つ、人種差別的要素を無視してはいけないという訴えが、意識の変革につながるようにと感じた。差別をする側は、常に強者だから、正当化しがちだ。

 

子どものころの楽しい思い出が、実はこうした差別に基づいているという事実を受け入れるのは困難だ。思い出は美化される。特に子ども時代は。それと同時に子ども時代の思い出は深い傷も残す。その関係性を突く良くできたドキュメンタリーだと思った。